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「化石が語る石巻」現地見学会


日 時 2017年9月10日(金) 9:30~15:00

講 師  永広昌之先生/東北大学名誉教授

 東北大学総合学術博物館協力研究員

参 加  22人(小学生3人)

主 催  たぶのきネットワーク石巻

後 援  (株)ナリサワ

青空に輝く黄金色の稲穂の間をバスは市内から北東の雄勝をめざします。この夏の日照不足で生育が心配された稲ですが、こうべを垂れた稲穂に 『あと数日、陽が照ると大丈夫だね…。』 の声。

コースは、ナリサワ→釜谷トンネル→雄勝・名振→雄勝・明神→釜谷大橋→神割崎→大指漁港→

十三浜・釣石神社→ナリサワ

見学地は石巻市北東部(雄勝町・北上町)、古生代末期のペルム系と中世代の三畳系及び下部白亜系地層の観察です。

観察地点は5箇所、地層の古い順に永広先生が設定してくださいました。

①雄勝・名振の海岸:ペルム紀中期大八景島層(約2億6千万年前)

この層の石灰岩には、ウミユリ、海綿、コケムシ、腕足類などの化石が見られるようです。 今回はウミユリの一部とサンゴを観察しました。市内で唯一石灰岩が観察できる地点。

赤道直下で生成。

               サンゴ                               ウミユリの一部  

②雄勝・明神の神社付近:ペルム紀後期登米層

 ズリ捨て場で、黒色泥岩がスレートへき開に沿い薄板状に割れる性質を観察。

  硯石として利用される玄昌石はスレートへき開が発達した泥岩。

③神割崎:三畳紀前期平磯層 砂岩と泥岩が交互に重なる層とそれを切る断層の観察。神割崎はその昔二つの村の争いを、神様が岬を割って仲裁したと伝えられ, 今も石巻市との境界になっていますが、実際は断層に沿って浸食された跡で、泥岩が消失して出来た裂け目でした。

④大指漁港:三畳紀大沢層

この層は泥岩から成り砂岩をはさむ。泥岩は魚竜やアンモナイトの化石を含む。

この辺りの地層は永広先生の専門領域で、最近も舐めるように調査されたとか。先生発見の嚢頭類(甲殻類の一グループ)Ehiro et al.,2015も大沢層からの採集でした。

⑤釣石神社:白亜系十三浜層群  砂岩と泥岩からなる。

神社手前の崖には厚い石英質砂岩が露頭。

釣石は石英質砂岩が玉ねぎ状に風化し、コアストーンとなったもの。

今回の見学会は古生代末期~中生代(約2億6千万年前~約1億3千万年前)の地層を観察しました。専門家が熟慮したコースを明快な解説で見学するのですから、地層の変遷や構造の違いが、すんなり理解できました。目を凝らすと化石はあちらにも、こちらにもあります。

 扉をひらいて頂くと、 何気なく見ていた周囲の岩が、饒舌に語り始めました。

怖ろしいほど大昔の地層にかこまれ、その上で暮らしているのを目の当たりにし、地元の多くの人々が認識し誇りとして大切に守って欲しいと切に思いました。

晴天に恵まれ、無事に終了した観察会。小学生が熱心にハンマーをふるい化石を探していました。彼らも岩の声を聴いたようです。

  永広先生、ご参加の皆様、ありがとうございました。


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