第1回「 牡鹿半島を知る講座」
化石が語る石巻
日時: 2017年7月9日(日曜日)
場所: ナリサワ2階研修室
講師: 永広 昌之先生 (東北大学名誉教授
/東北大学総合学術博物館協力研究員)
司会: 松浦 達夫
参加者: 66名
主催: たぶのきネットワーク石巻
後援: 石巻市教育委員会/(株)ナリサワ
『たぶのきネットワーク石巻』の代表長谷川から、地質学者の永広先生は昨年12月放映のNHK『ブラタモリ』で藤原氏奥州三代の繁栄は北上山地あっての事と説明されていたという紹介がありました。
石巻を含めた南三陸地域がいかに貴重な学術遺産の宝庫であるかを古生代アンモノイドの研究者,永広先生に熱意を込めて話して頂きました。
何とあの「ナウマン象」の発見者のエドモンド・ナウマン博士が1881年に石巻市の井内で「三畳紀」の化石「アンモナイト」を発見し、1888年に「石巻産三畳紀アンモナイト化石」として世界の学術論文に発表したそうです。
アンモナイトは殻が直径数センチ~約2メートル位になる軟体動物で、イカ、タコ類と似ていて近い仲間とされ触手は10本でイカと同じです。
私たちの身近な食材でその泳ぐ姿は想像できますが、4億5千万年は想像できませんね!
化石の研究で当時の気候、堆積環境、生存期間が分かるそうです。
1900年代は北上山地が中生代の地層研究のメッカになったそうです。
1970年に南三陸の歌津から世界最古の魚竜の化石が出ました。
「ウタツサウルス」と地名のついた国指定の天然記念物は日本に2つしかないそうです。
会場からはこれらの貴重な化石が身近な場所で発見され世界的に評価されていたことに感嘆と驚きの声が上がりました。
後半は「南北北上高地は2億5千万年前は赤道直下にあった」という南三陸の生い立ちのお話です。
南部北上地帯からは熱帯域のアンモナイト化石も発見され、昔は赤道付近にあったのではということです。
地殻変動の繰り返しを経ていても化石を使って大陸の位置は科学的に推理出来るということです。
講演後には熱心な化石ファンの方々からオウムガイとの違い、アンモノイドの大きさの質問や、化石持参の岩手大学の化石サークルの学生さんたちが熱心に質問していました。
会場から「私達だけではもったいない、石巻の子供たちに聞かせたい!」との声も上がりました。